いつもの場所
THIRD PLACE
1. 恋の始まり



「本気で好きなら伝えなきゃ。私みたいになっちゃうよ。」



ネムの言葉は重かった。



「分かってるよ。でもやっぱり振られること考えちゃうよ。もう会えなくなるのも友達じゃなくなるのもいやだし。」



絵里は片想いでキラキラしている肌だが表情は臆病だった。



「バカじゃないの?何も伝えずに後悔する方が辛いわ。」



凛々子は刺々しく言い放った。



「そ、そうだよね、確かに。明後日…映画にいくんだけど、その時にでも言っちゃおうかな。」



「なんだ~デートの約束してんじゃん。きっと時間の問題だよ。いいなぁ~」



と、励ますように朱美は羨ましそうに笑った。



そう、相変わらず4人はデニーズに住み着いているようだった。



絵里は恋愛経験がなかった。もちろん彼氏もいたことがなければキスもまだ。



そんな彼女にとってネム、凛々子、朱美は頼もしい存在だった。



「でも裕也くん、中学の時ヤンキーだったんでしょ~!」



「らしいじゃん、大丈夫なの?」



絵里以外の3人は、永遠と「裕也」について語っていた。



「もう分かってるよ!何回も言われなくても…でも今はちゃんと働いてるし。」



絵里は頬を膨らませて自分にも言い聞かせるようだった。



「ちゃんと両目で彼をみてるんだよね?惚れた弱味だからって、悪いところに目を瞑ってばかりいたら後々自分に皺寄せが来るよ。」



今日のネムは辛口ガールのスイッチ全開だ。



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