いつもの場所
3. 約束
 


「地震?!」



二人は息をのみ数秒間の沈黙が流れた。



「勘違いじゃねぇの?」



「今向こうの車がすごく揺れてたの!!」と絵里は鼻息荒く動揺した様子だった。



「お前さ、バカなの?」



裕也はバカにしたような目でくすりと笑った。



「あいつらハメてんでしょ。」



「ハメる?どうゆうこと?」



「はぁ?お前誘ってんの?」と爆笑する裕也の言葉に終始不思議な眼差しの絵里に彼は言いはなった。



「だからぁ、セックスしてんの!」



そう、この駐車場は夜になると性欲が溢れたカップル達の溜まり場だった。



絵里は思いもしない状況に開いた口が塞がらなかった。



「え?いや、知らなくて…こんなところで…だって…」



と自分が恥ずかしくなり心臓の音が漏れるほどだった。



裕也はそんな絵里にたまらなくなり、スッと腕を彼女の首に回した。



そして顔をよせ唇を近づけたかと思うと直前で避け、耳元で囁いた。



「俺らもする?」



そういってニヤリとする裕也とは裏腹に、絵里は完全に硬直してしまった。



「ハハハっ、冗談だっつーの。ま、でもあんまりガードが固いやつは俺無理だから。」



と冷ややかな声のトーンに、絵里は我に返った。



「わ、分かってるよ。でも今日は急だったからビックリしちゃって。」



そう言って顔を赤らめた。



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