いつもの場所
「ま、いいけど。てか来週は朝5時に迎えにいくから。」



「5時?!早いけど…どこいくの?」



「どこいくって、マルマンだっつーの。来週は結構熱いらしい。だから朝から並ぶぞ。」



そう言って目を輝かせる裕也を見て『来週も会えるんだ』と、絵里の心は踊った。



この日の夜、いつもの女子会の予定があったが、そんなことすっかり忘れていた。



いや、忘れていたことにしたという方が正しかった。



その頃デニーズでは、連絡のとれない絵里にしびれを切らし、3人はようやく料理をオーダーしたとこだった。




「絵里、どうしたのかな。」と朱美は心配そうだった。



「男ができた途端薄情なやつー。」と、凛々子はふくれた。



「いや、なんか用事じゃない?やっぱ絵里は学校も忙しいだろうし。」とすかさずネムはフォローした。



そう、絵里はこの中で一番成績優秀だった。難関大学にストレートで合格し、今では税理士目指して勉学に励んでいた。



「あ~確かにこの前、このまま大学院に進んで公認会計士になれたらなって言ってたわ。」



「やっぱすごいね~。そうゆうとこは本当に尊敬するよ。」



その日の3人は絵里の新しい恋の話を肴に、本人抜きで盛り上がっていた。
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