いつもの場所
4. 消えたお金



翌日、指定の時間に少し遅れて警察がやってきた。賢太郎の姿はない。



「朱美、賢太郎くんはこんのか?」



「おかしいな、電話してみる」



というやいなやメール音が鳴った。



『本当にごめん、今朝から熱が出て今日いけそうにないんだ』



と、今日初めての連絡だった。だから朝から連絡がなかったのだと朱美は安堵した。



『大丈夫?!こちらのことは気にしないで。また元気になったら連絡ちょうだい!ゆっくりしてね。』と心なしか賢太郎に迷惑をかけなくてすむと安心したように思えた。



「お一人様は本日みえないのですね。では3名の指紋のみ採取させてもらいます。あと現金が入っていた引出しの指紋は昨日いくつか採取してありますので署に帰ってそれと照合します。」



事務的に淡々と語る警察が朱美には輝いて見えた。定職に就いているということが素晴らしいと思えた。だがそんな警察から要らない一言が。



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