いつもの場所
焦る絵里だったが、逆撫ですると昨日のようなカーチェイスが待っているかも…と3人は心の中でため息をついた。



「なら一緒には行かないけど、後ろからこっそりついていくから、聞いてきなよ。」と凛々子が提案した。



「うん、ありがとう。」と鼻息荒く絵里は車内を降りた。



数メートル離れたところで絵里を追いかける3人も二日連続で探偵ごっこでもしているかのようで疲れた顔をした。



運良く、かおるは入ってすぐの受け付けにいた。



「お久しぶり。」と絵里が近づくと、かおるはあからさまに嫌な顔をした。



「あぁ、今日だっけ。」



「そうよ、向かいのカフェにいるからちゃんと来なさいよ。」と強めに絵里が言った。



しかし、かおるはそれを鼻で笑うように答えた。



「フフっ。やっぱり私あなたに話すことなんてないの。聞いたわよ、裕也とあなた、別れるもなにも付き合ってもないらしいじゃない。」



絵里はまた我を忘れそうに表情がこわばった。しかし何も言い返すことはできなかった。



「長谷川さん、あがっていいよ~。」



とこの店の店長らしき人がかおるに声をかけた。


「じゃ、私も帰るから、あんたも帰んなよ。」とかおるが絵里に声をかけてスタッフルームに入っていった。
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