不思議の国の白雪王子
おばば様の予言には、こんなことが書かれていた。


《今は1つのこの国は、ある日を境に2つに分裂するであろう。


そしていくつかの問題が起こる。


貧困、飢餓、干ばつ…戦争。


その戦争を終わらせられるのは"アリス"と呼ばれる少女のみ。


"アリス"を獲得した者が勝者になり、その国の王となる―》


「え…私…!?」


王子を見ると、黙って頷いた。


「この国は、昔は1つの国だった。でも今は東のチャーミング陛下と西のハートの女王で分裂している。」


なんかやっぱり、どっちも聞いたことあるような名前…


「東と西はお互いが歪みあっていて、いつ戦争が起こってもおかしくない状態だ。」


私にはすごく平和そうな国に見えたけど、王子がこんなに真剣な顔で言うんだから本当なんだろう。


「そこでだ、アリス。お前はどうやらこの国の救世主らしい。」


「は、救世主!?」


「まあ、そーゆーことだ。これでまたこの城にいていい理由が増えたな。よかったじゃねーか。」


今度はいたずらっ子の様な顔でこちらを見ている。


「ワシにはただの役立たずな小娘にしか見えんがな!」


私の足元ではラビちゃんが小言を言っていて。


「そんな事って……あるわけない!!」


キラキラした王子様の皮を被った悪魔は、


満面の笑顔で近づいて来て…


「頑張れよ、"救世主"!」


白雪王子はそう言った。
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