不思議の国の白雪王子
「それでは、ワシは朝食の準備をして参りますね。」


王子に深々と頭を下げて、部屋を出て行ってしまう。


ちょっ、2人きりにしないで!


王子はまだ私の腕を掴んでいる。


「ねえ…早く腕離してよ。」


「やだ。」
 

やだって…子供か!


王子は腕を掴む手を、今度は腰に回してきた。


そしてそのまま自分に引き寄せる。


私は抵抗する事もできず、膝の上に座る形になってしまう。


「な…っやだ!離して!」


王子の膝の上でバタバタと暴れる。


でも、ヤツは涼しい顔でビクともしない。


それどころか、私の首筋に顔をうずめて来たのだ。


「ちょっ…」


は、恥ずかしいんだってば!!


「ねえちょっと!本当に離して!こんなところラビちゃんに見られたら怒られる!」


「怒られるのは俺じゃないから別にいいけど?」


私の首筋でいつもの意地悪な顔をする。


こいつ…!顔近いし!余計に心臓うるさいし!


「似合ってるじゃん。メイド服。」


「えっ」


突然の褒め言葉に驚いてしまう。


「ふぁーあ。たった1回のキスじゃ、ちゃんと目が覚めないなあ?もう一回しとく?」


王子はすごく嬉しそうだ。


「っするわけないじゃない!早くはーなーしーてっ!」


グイグイと顔をどかそうとするけれど、やっぱりビクともしない。


こいつ、何でこんなに力強いのよ!


そんな事を思っていたら、王子が急に私の手を掴んで、手首にキスをした。


私は突然の出来事に固まる。


そのまま私の顔を見てニヤッと笑いながら顔を近付けてくる。


キスされる…っそう思い、とっさに目を閉じた瞬間。
 

ガチャ。


「「「あ」」」


ラビちゃんが戻って来たのだ。


ラビちゃんはワナワナと震えている。


み、見られた…///


「っ…小娘ー!後でワシの部屋にこーい!!!!」


後ほど私がこっぴどく怒られたのは、言うまでもない。
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