不思議の国の白雪王子
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私達はようやくカフェ出て、ハートの女王の城へと向かっていた。 


白雪はずっと時計を見つめている。


「ねえ、ちょっといい?」


私がそう言うと、少し顔を上げた。


「その時計って…?」


私は、何故か聞いてはいけない質問の様な気がして、少し気まずかった。


白雪は質問には答えず、少し困った様な顔をした。


「まあ、お前にならいいか…」


しばらく悩んだ後にそう言って、時計におもむろにキスをする。


すると…


パアアアアッ―


時計が光を放ちながら白雪の手を離れ、形を変え始めた



ま、眩しい…!何!?


なんで時計が光ってるのよ!?


あまりに眩しいので、思わず目を閉じてしまう。


「もう目開けていいぞ。」


白雪のその言葉に、恐る恐る目を開けた。


そして、私の目の前に現れたのは…


「キューッ!」


白くてふわふわとした、綿の様な生き物だった。


それはとても小さくて、フワッフワッと空中を漂っている。


「な、何コレ…」


「驚いたかもしんねえけど、コイツは…」


「可愛いー!!!」


私は我慢できず、白雪の言葉を遮って、そのふわふわした生き物を両手で包み込んだ。


両手を顔の横まで持って来て頬ずりをする。


「小さい…真っ白…ふわふわ…可愛い…!!」


「あ、アリス…?」


白雪はそんな私を困惑したような顔で見ていた。


ふわふわした生き物は、私の手の中で「キュキュッ!」とどこか嬉しそうに鳴いている。


はあ…本当に可愛い…!


私、ここに来る前から小さい物は大好きなんだよね♪


「白雪!この子名前何て言うの!?」


「…スノー。」


「スノー!?名前まで可愛い〜!」


もう一度頬ずりをすると、スノーはまた「キュキュッ!」と鳴いた。
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