不思議の国の白雪王子
教室に入ると、皆が私の方を向く。
「おはよう!」
花やさっきの男子に向けた同じ笑顔で挨拶をすると、
「おはよう亜利子〜!」「おはよ!」と
次々に女子の皆が集まってきた。
男子達は自分の席で「やっべえ、今日も超可愛いな。」
などとチラチラと見ながら話している。
そんなにチラチラ見るくらいなら、直接話しかけてこればいいのに…
まださっきの男子の方がマシね。
「や〜ん、今日もめちゃめちゃ可愛い♡」
そんな事分かってる。
「私、亜利子になりたい〜!」
あんたなんかがなれる訳ないでしょ。
「どうしてそんなに可愛いの〜?」
分かりやすく媚びてこないで。
これが私の日常。そして私の本性だ。
私、森 亜利子(モリ アリス)は、17歳の高校2年生。
自他共に認める才色兼備。
少し天然パーマが入ってウェーブしている栗色の髪。
パッチリ二重の大きい目。
唇はいつだって艷やかな赤色だし、
鼻筋も通っていて顔も小さい。
手足もスラリと長くのびていて、出る所は出ている。
また、成績はいつもNo.1。
スポーツテストやマラソン大会でも1番しかとった事がない。
ね、才色兼備でしょう?
いつもはニコニコして大人しいふりをしているけど
本当は誰のことも信じていないし、心の中では暴言吐き放題だ。