不思議の国の白雪王子

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グリム王国に来て4日目の朝。


今は、いつもなら白雪を起こしに行く時間。


でも私は、まだベットの上でモゾモゾと布団に包まっていた。


「アリス!いつまで寝ているんじゃ!早く起きんか!」


ラビちゃんがいつものように起こしに来る。


「ごめん、ラビちゃん。昨日から頭が痛くて…」


私はラビちゃんの顔も見ずにそう言った。


だって、昨日の今日で…どんな顔して白雪に会えばいいのかわかんないよ。


それに今白雪を見たら、きっとまた泣いちゃうから。


ラビちゃんは「頭痛か…それなら仕方がない。」と言って許してくれた。


「頭痛薬を持って来るか?」


「ううん。大丈夫。ありがとう。」


「そうか。」


キィ…パタン。


私はラビちゃんが出て行ったのを確認して、ベットから体を起こした。


近くに置いてあった手鏡で自分の顔を見てみる。


「うわあ…ひどい顔。」


昨日ひと晩中泣き続けた私の顔は、目は真っ赤に腫れ上がり、顔はパンパンにむくんでいた。


コン…
 

この顔はラビちゃんに見せなくて良かったかも…


コンコン…
 

絶対泣いたってバレちゃうもんね。ラビちゃんには心配かけたくないし!


コン…ゴンゴン


ん?ラビちゃんって私の事心配するのかな…


ゴンゴンゴン…


あ、でもさっき「頭痛薬持ってくるか?」って言ってくれたよね。


ゴンゴン!


なんだかんだ言って、一応私がここにいる事認めてくれてるんだろうなあ。


ガンッ!!


「もう、何!何の音よ!?」


私はさっきから鳴っている見えない音に向けて怒る。


どこから音が聞こえてくるのかと、部屋の中をグルリと見渡した。 


すると、窓の外からヒョコッとクロさんが顔を出した。


「え!クロさん!?」 


ここ、2階なのに!どうやって来たの!?


そう思いながら慌てて窓を開ける。


「こんにちは。」


「こんにちは…って、どうしたんですか!?」 


私が窓を開けると、クロさんは薄っすらと微笑んだ。


そして「よいしょ」と言って窓から部屋に入って来る。
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