不思議の国の白雪王子
♠Episode 6.
2人きりになった部屋。
白雪は部屋のソファに腰掛け、私は自分のベットの上に座っていた。
私と白雪はずっと黙ったままだ。
2人きりになったのはいいけど、何から話したらいいか分かんない…!
私が1人で頭を抱えていると、白雪がおもむろに口を開く。
最初に沈黙を破ったのは白雪だった。
「アリスも俺から離れて行くのか…?」
「え…?」
白雪の声は弱々しく、まるで捨てられた子犬のように見えた。
「俺が大切に思ってた人は皆俺から離れてく。」
皆って…お母さんやクロさんの事?
でも、私にはそれだけじゃないようにも聞こえる。
「親父も、ラビーも、帽子屋も、アリスも…結局はいなくなるんだ。」
そこには、いつもの俺様で変態で意地悪な白雪はいなかった。
ただただ弱気で、自信を喪失した男の子。
私はベットから立ち上がり、そんな白雪に近付く。
そして、白くてキメ細やかな肌を持つ彼の頬を両手で挟み込んだ。
ムニッ
白雪は突然の事で目を見開いている。
「ら、らりするんらよ!(な、なにするんだよ!)」
「うるさい。」
「わ?(は?)」
「皆離れて行っちゃうとか、自分は好かれてないんだとか…」
「ふかれてはいとはひってねーほ。(好かれてないとは言ってねーよ。)」
「うるさいうるさい!」
「わあぁ?(はあぁ?)」
「離れたくないなら、大切に思ってるなら…自分で捕まえなさいよ!」
「……」
「自分で、離さないようにちゃんと掴んでなさいよ!」
「……」
「そうでもしないと、本当に皆いなくなっちゃうよ…」
「…はりふ?(アリス?)」
「私は、白雪が傷付く所なんて見たくない…」
昨日さんざん大泣きして、もう涙なんか出ないはずなのに…
私はまた涙を流していた。
「うう…グスッ…うぇ…グスグスッ」