不思議の国の白雪王子
また笑い出しそうな白雪を睨みつけると、「悪い悪い。」と謝ってくる。
「全く…てか、いい加減離してよ。」
「……」
「無視!?」
さっき顔見たら離してくれるって言ってたじゃん!
白雪は、『何も知りません』みたいな顔をしてそっぽを向いている。
「話しがちがーう!」
「…何でそんなに離れたいんだよ?」
「え?えっと…暑い!」
ホントは別に暑くないけど。
恥ずかしいし、心臓が持たないんだもん!
「ふーん…やっぱりお前も離れて行くんだな。」
う…っ
「俺の事好きだって言ってたのは誰だったかなあ…」
うう…っ
今度はそっぽを向くのを止め、じぃーっと疑いの様な目で私を見た。
「私…です。」
その返事に、「そーだよなあ」と満足気に頷く。
「と、〝友達として〟だからね!」
私が慌てて訂正を入れると、白雪はまたニヤニヤと笑みをこぼした。
「誰も〝恋愛感情〟なんて言ってねえよ?」
ううう…っ
自分で墓穴掘ってどうするの!
でも、本当に白雪の事は〝友達として〟好きなんだし!
私は自分にそう言い聞かせた。
ん?言い聞かせた…?
白雪の事が〝友達として〟好きなら、言い聞かせる必要なんてないはず。
それなのに、私は…?
自分の気持ちが分からなくなり、黙り込んでしまう。
そんな私に、白雪の顔が近付いて来た。
見た事のある様なその光景。
昨日の出来事が頭をよぎる。
『っ…黒雪だけには絶対渡さねえ。』
パシン…ッ
私は、思わず白雪の頬を叩いてしまっていた。
「あ…」
ど、どうしよう…!
昨日の事思い出して、怖くなって…
白雪の顔叩いちゃった…!
白雪は何が起きたか理解できないのか、叩かれた状態のまま固まっている。