さよなら、もう一人のわたし
わたしは靴箱から自分の靴を取りだすと、上履きに履き替え、短く息を吐いた。うららかな青空がのぞく朝。一日の始まりにも関わらず気が滅入っているのは、昨日ある通知が届いたためだ。それはこの前のオーディションの落選通知だ。結果はもちろん、あの子の言った通り落選だった。
これで何度目の落選通知だろう。そんなに大きな役でもないのに。いつもいいところまでいっても、あと一歩でオーディションに受かることができない。応募するたびに落選を増やしていく……。そんな感じで時間が経過し、わたしはもう十七歳になっていた。
世間的にはまだ若者には分類されるだろう。だが、テレビや映画ではわたしと同じくらいの子が活躍している。
そんな子の活躍を見るたびに悔しい気持ちが湧き上がってくる。
わたしは彼女たちと同じ立場にさえ立ったこともないのに。ただの嫉妬だろう。
「どうかしたの?」
突然聞こえてきた声に顔を上げた。その声に聞き覚えがあったからだ。目の前に立っていた子に愕然とする。この前一緒にオーディションを受けた、わたしに悲惨だと言った女の子だったからだ。
彼女は長い髪を両脇で三つ編にしていて、あの日よりももっと幼く見えた。目が合うと微笑んだ。
これで何度目の落選通知だろう。そんなに大きな役でもないのに。いつもいいところまでいっても、あと一歩でオーディションに受かることができない。応募するたびに落選を増やしていく……。そんな感じで時間が経過し、わたしはもう十七歳になっていた。
世間的にはまだ若者には分類されるだろう。だが、テレビや映画ではわたしと同じくらいの子が活躍している。
そんな子の活躍を見るたびに悔しい気持ちが湧き上がってくる。
わたしは彼女たちと同じ立場にさえ立ったこともないのに。ただの嫉妬だろう。
「どうかしたの?」
突然聞こえてきた声に顔を上げた。その声に聞き覚えがあったからだ。目の前に立っていた子に愕然とする。この前一緒にオーディションを受けた、わたしに悲惨だと言った女の子だったからだ。
彼女は長い髪を両脇で三つ編にしていて、あの日よりももっと幼く見えた。目が合うと微笑んだ。