さよなら、もう一人のわたし
彼はアルバムを持ったまま出て行こうとした。
ドアの隙間から茶色のお盆が姿を現す。千春がわたしたちを見て首をかしげる。
「何しているの?」
わたしは唖然とドア付近を見て、尚志さんはものすごい剣幕でアルバムを手に部屋を飛び出そうとしていた。
考えればどんなシチュエーションか分かりそうな気はするが、千春は「こぼれる」と兄を言葉で押しぬけ、部屋の中に入ってきた。そして、お盆を部屋にあるサイドテーブルの上に置く。
「アルバムくらい別にいいじゃない。お兄ちゃんだって似たようなことしようとしたくせに」
「俺はお前と違って完璧に普通の人なんだよ。露出しまくっていたやつと一緒にするなよ」
「そういう変なことを言わないでくれる? 変な誤解したらどうするのよ」
「事実だろう」
喧嘩するほど仲がいいと言う。多分二人も仲がいいのだろう、とは思う。
「わたし、お邪魔なら先に帰ろうか?」
「お兄ちゃんは部屋に戻っていて」
ドアの隙間から茶色のお盆が姿を現す。千春がわたしたちを見て首をかしげる。
「何しているの?」
わたしは唖然とドア付近を見て、尚志さんはものすごい剣幕でアルバムを手に部屋を飛び出そうとしていた。
考えればどんなシチュエーションか分かりそうな気はするが、千春は「こぼれる」と兄を言葉で押しぬけ、部屋の中に入ってきた。そして、お盆を部屋にあるサイドテーブルの上に置く。
「アルバムくらい別にいいじゃない。お兄ちゃんだって似たようなことしようとしたくせに」
「俺はお前と違って完璧に普通の人なんだよ。露出しまくっていたやつと一緒にするなよ」
「そういう変なことを言わないでくれる? 変な誤解したらどうするのよ」
「事実だろう」
喧嘩するほど仲がいいと言う。多分二人も仲がいいのだろう、とは思う。
「わたし、お邪魔なら先に帰ろうか?」
「お兄ちゃんは部屋に戻っていて」