さよなら、もう一人のわたし
 わたしの言葉に千春は笑う。

「一緒に帰ろうよ」

 わたしは千春に誘われるまま、学校を出ることにした。
 帰りがけにコンビニを通りかかったときに、千春がお店の中に入ろうと促した。

「お疲れ様ってことで一個おごってあげる」

 彼女はわたしが選ばれると思っているのかもしれない。
 わたしは彼女の好意を受けておこうとしたのだ。
 ソフトクリームを手に、わたしたちはお店を出た。
 それを近くの公園で食べることにした。
 公園の中で封をとき、食べ始めたとき、千春が短く息を吐く。

「昨日は大変だったみたいだね」
「え?」

 わたしの胸がどくんと高鳴る。
 どっちのことを言っているんだろう。

「傘持っていないのに、雨が降ったんでしょう? お兄ちゃんがびしょびしょで帰ってきて驚いちゃった」

 わたしの脳内で昨日のことが蘇る。
 頬が熱くなってきた。
 千春はそこで会話をやめ、アイスを食べ始めてしまった。

 どうしよう。

 三度ほど躊躇して、四度目にやっと言葉を紡ぎだす。

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