大切な人へ
突如走る痛みに立ち止まりそうになるが
止まれない!
これ以上迷惑かけたくない…
コツ…ズキッ コツ…ズキッ
先を歩いていた先生が鍵を置いてくると
北校舎の階段を上っていった
『はぁ……いたたた……』
その場にへたりこんで痛む場所をさする
先程の階段でひねってしまったようだ
壁沿いにゆっくり歩いていると
先生が降りてきた
目があったと思うとこちらに走ってくる…まずい
「どした?まだ気持ち悪い?」
『うぅん!もぅ大丈夫!行きましょ~』
心配した顔の先生に明るく答えて歩き出す
コツ_コツ_______ コツ_コツ_______
横にいる彼の視線が下を向いてる…
それに気付かない振りをして急ぐ
すっとそれが視界の端から消えたと思ったら
『いったーーいっ‼』
私の叫び声が廊下に響いた
ひどい……
先生は私の痛む足首を握っていた
へなへなと座り込む私に
「痛いんじゃないか 」
少し険しい顔で言ってまた抱えようと手を伸ばす
『大丈夫! ゆっくりなら歩けます……』
「……そんなに嫌だった?」
一気に表情が暗くなっていく彼に
焦りながら首をふる 違うの‼
『恥ずかしいの…もぅ心臓がもちません…』
うつむき小さな声でしか言えない本音
何も言わずに立ち上がり
手を差し出してくれる
捕まると 力強く引き上げて立たせてくれた
「おんぶでもいいけど」
『歩きます』
「じゃーこれでいいですか?」
彼はクスクス笑いながら ひじを近づけてきた
お礼を言ってしぶしぶそこにつかまる
彼の腕は大きくて温かかった
私のことも軽々持ち上げてしまうくらい
結局私の心臓はうるさく騒いでいた…