ラブ パラドックス
Chap.01 同期
「葉月って酔うとかわいいのな」
「アルコールの摂取に関わらず、かわいいと言われる女になりたい」
「お前は黙ってりゃかわいいぞ。かわいいより、美人」
「お世辞ありがと。でもお前って言われるの嫌いなんだけど」
「ほらそういうところ」
ちゃんと歩けよ。と、夏目 陽が私の手首を引っ張る。夏目くんが手を引いてくれないと、頭も体もふわふわで歩けない。おとなしくしておこう。
それに実は、”お前”って呼ばれることは、嫌いじゃない。むしろそう呼ばれたい願望ありなのだけど、キャラじゃないって笑われるのがオチだから、口に出したことはない。
「そんなんだから彼氏できねんだろ」
「随時募集中なんだけどね。年中無休24時間」
「必死か」
「必死じゃないよ。ご縁があればいつでもってこと。恋人いたら楽しいこと増えない?」
「そんなもんか?直近は?」
「半年くらい前かな」
「へー別れた理由は?お前の可愛げのなさ?」
長身の夏目くんがバカにしたような目線を落としてくる。
169センチの私でも見上げてしまう。黙っとけばってやつ。あれは夏目くんにも言える。