ラブ パラドックス

『凛子ちゃん、仕事帰りだったんだ』

メッセージを送信すると、すぐ電話がかかってきた。駅の喧騒の中、耳に届く湊さんの弾んだ声。


「お疲れ様。グッドタイミングだったから、迷わず下車しちゃった」

『マジで。やばい嬉しい。俺、本部への報告物が少しあるから、それ終わらせて駅に迎えに行く。寒いからどこか店に入ってて』

「仕事あるんだったら、私がそっちに行くよ」

『凛子ちゃんに来させるわけにはいかないよ。寒いし、夜一人でこの辺歩くの危ないでしょ。ナンパとかキャッチとか』

「大丈夫大丈夫。コーヒーショップにでもいるから、ゆっくり仕事してね」


じゃあね。電話してね。と半ば強引に通話を終わらせた。スマホを持った手ごと、コートのポケットにつっこんで、アーケード街に続く出口に歩き始めた。
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