ラブ パラドックス
「葉月!」



数メートル歩いたところで、夏目くんに呼びとめられた。

振り返って立ち止まる。湊さんも。


「お前酒飲むなよ」

「大丈夫。明日も仕事だから控えるよ」

「一滴も飲むなっつってんだよ。この前みたいな大惨事になるぞ」

「ちょっとやめてよ」

「店長さん。俺、そいつの家で二人で鍋食ったんだけど、そのとき日本酒飲みすぎて、」

「わー!わー!」

「というわけで、お前家帰ったらすぐ連絡して来い」

「なんでよ」

「用事があんだよ」

「なんの!」

「仕事に決まってんだろ」

「わかりました。さようなら」


最低!

まさか近年で一番の大失敗を暴露するなんて!

湊さんの手を引いてその場を離れた。湊さんの表情が曇ってるなんて、気づく余裕はなかった。

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