ラブ パラドックス
「わたし、気になってる人がいるって言ったでしょ?その人のこと、結構好きに…」
「言わないで」
「だから、湊さんとはもう会わないほうが」
「言うなって」
繋いだ手から、熱が逃げた。
「凛子ちゃん、俺と会ってて、楽しいと思ってくれてるよね」
「うん」
「俺が手をつないだり、抱きしめたりして、すごく嫌だって感じる?」
「そんなこと…」
「凛子ちゃんの好きな人が、夏目さんじゃなきゃいいのに」
グイ、と腕を引き寄せられ、あっと思った時には、湊さんの腕の中にいた。
いつもの香水の香りが強くなる。
「俺、凛子ちゃんからメッセージきたら、それだけで嬉しいんだ。子どもかって自分でも滑稽なんだけど」
「そんな…」
「今日突然だったのに、電車降りて店まで来てくれて、本当に嬉しかった」
「・・・・」
「会わないほうがいいなんて、聞きたくない。俺からチャンスを奪わないでよ。俺を好きになってほしい」