ラブ パラドックス
本当はドキドキしちゃうくらい嬉しい。それなのに、今の私は必死でそれを隠してる。ここ!ここで素直にありがとうって言えるようになりたい。

同期に褒められるのは、上司に褒められるよりも嬉しいかもしれない。


やっぱり同期って特別で。助け合いたいし仲良くしたいけど、負けたくない気持ちもある。

男の人はプライド高いし、女の私を褒めるのって本当は嫌じゃないのかな。ほんと、いいやつだな。


「それに葉月って毎日弁当持参だろ?ネイルが痛むとか言って一切家事しないタイプだと思ってた。デートは奢られて当たり前。ラーメンなんかに連れていこうものならキレて帰るとか」

「家事するし。ラーメン大好きだし。デート奢りは嬉しいけど」

「うん。今はお前はそういうタイプだなって思ってる。好感度上がりまくり」

「マイナススタートなんだから当たりまえでしょ」

「素直に喜べよ」

「喜べるか!」


いつの間にかお弁当を食べ終わった夏目くんが、ふたを閉めながら楽しそうに軽く笑う。

夏目くんは、嫌味っぽくないからいい。
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