ラブ パラドックス
耳元で、再びコツコツと聞こえ始めた。

夏目くんの視線は足元をさまよう。それから私に戻って留まった。


「こうも言ったよな。次は本当に好きな人と付き合いたいって」

「うん」


夏目くんが小さく息を吐く。それから、空いてるほうの手で鼻先をすっと撫でた。

夏目くんがよくやる癖だね。


「好きなやつ、いるのか?」



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