ラブ パラドックス
「時間まだいいよね。寒いけどちょっと歩こうか」

「うん」


食事を終え、歩き始めた湊さんに合わせ付いていく。この辺りのイルミネーションはゴールド一色だ。とても綺麗で大人っぽくて、うっとりする。


「凛子ちゃん今日私服だよね。雰囲気が全然違う。さすが女の子だね」

「え、なんか恥ずかしい」

「なんで?いつもはスーツで、キリっと仕事モードだけど、今日はオフっぽくてかわいい」


かわいい、のワードが体温を上げる。寒いはずなのに暑いぞ。そんなの言ってくれるの、湊さんくらいだ。


「あそこ座ろう」


不意に、湊さんが私の手を取る。冷たく冷えた指に、突如伝わるぬくもりに困惑する。


「なんでこんな冷たいの」

「わかんない」


ふわり、微笑んだ湊さんが、繋いだそれをコートのポケットに突っ込んだ。

わ、わ、ちょっと、どうしよう。


並んで腰を下ろしたベンチは、まばゆいばかりのイルミネーションが施された、大きなクリスマスツリーの下。

確かこのツリーの点灯式を、テレビで見た気がする。

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