ラブ パラドックス

「ごめんね、マナーモードにしてなかったみたい」


かまわず鳴り続ける携帯を取り出し、着信音を消そうとして手が止まった。


着信が前田先生からだった。

オフの時、前田先生からの着信はいつ何時でも一気に緊張が走る。


仕事の急用しかないからだ。

とりあえず音をオフにしたものの、手の中で鳴り続ける。


「電話？出ていいよ」

「ごめん、職場の上司から」

「こんな時間に？急用なんじゃない？出なよ」

「ごめんね」



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『はい。いえ、問題ないです。失礼します』


通話を終え、急に焦り始める自分がいた。

ううん。通話中、すでに頭が真っ白になりそうだった。