ラブ パラドックス
前田先生からの電話は、夕方「年が明けたら」と言われた、死亡危急者遺言の緊急招集だった。
20時ごろ、先生の友人である依頼人の容体が急変し、一時は危篤状態まで陥ったものの、現在は回復し意識もしっかりしてるそうだ。
それで、こんな時間だけど緊急の遺言作成を依頼されたそうだ。
「凛子ちゃん大丈夫?」
心配そうな面持ちで声をかけてくれた湊さんに、簡単に事態を説明した。
「そういうことなら俺はいいから、急いで行きなよ」
「ありがとう。でも湊さんにちゃんと言いたい」
前田先生にも、病院に行くまで少しかかると伝えた。
ここからなら、タクシーを使えばそう時間はかからない。