ラブ パラドックス
逃げ帰ったことを心底悔いた。


夏目くんの嫌いな、一夜限りの関係を持ってしまった。


どうせもう、今までの関係には戻れない。

それならいっそ、気持ちを伝えればよかった。


素直に、正直に、夏目くんのことが好きだと。



スマホを持ってベッドに潜る。

瞼が重いのは眠気?それとも泣き腫らしたから?


今日のわたしはいつも以上に褒めるところがないけれど、褒め日記をつけるのが習慣になっているため、付箋アプリを開こうとして、一気に心拍数が上昇する。


メッセージの新着がある。


夏目くんだ。



送られてきたのは30分前。ちょうど、バスルームで泣いてる時だ。


内容を確認するのが怖い。

でも見ずにはいられなくてメッセージを開く。


【無事帰れたか?】


たった、それだけ。

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