ラブ パラドックス
Chap.10 結実
誰か、ヘタレなわたしをぶん殴ってください。
来た!
まだかまだかと待ちわびていたくせに、夏目くんが出勤してきたとわかると、途端目を伏せる私。
急にキーボードをたたき始める指。
どう考えても不自然。
夏目くんがどんどん近づいてくる。
わ、わ、どうしよう。
隣のデスクなんだから当たり前なんだけど、うろたえてしまう。
さっぱりと髪を切った夏目くんと目が合う。
あの夜以来、久しぶりに会う夏目くん。
夏目くんに会えただけで、胸がぎゅっとなって、熱くなる。
体温が、上がる。
声が聴きたかった。
会うのが怖いくせに、会いたくて仕方なかった。
休暇中、夏目くんから、一度も連絡がなかったから。