ラブ パラドックス
ざわざわと、騒がしい声が聞こえてきた。
前田先生たちの出勤だ。
エレベーターホールでの会話はよく響く。
やっぱり夏目くんに告白するのは、今日はやめておこうと思う。
正月休み明けでどことなく浮ついてるし、今日は仕事がバタバタするはずだから。
それに、夏目くんが、いつになく口数が少ない。
人のことは言えないけど、夏目くんもどこかよそよそしい。
決定的な言葉を言われるのを、この期に及んで先延ばしにしたい自分がいる。
大嫌いな自分が。