ラブ パラドックス
”今度付き合うのは、本当に好きな人と付き合いたい”


夏目くんがいい。

夏目くんでなきゃ。


「夏目くんに合わせる顔がなかった。嫌われたと思って、怖くなって逃げた」

「は?」


夏目くんが眉根を寄せる。

難しい顔でわたしを見つめる。


「なんで俺がお前を嫌いになるんだよ」

「だって、付き合ってないのにしちゃったから…」

「意味わかんねえ。逆にお前が俺に嫌悪感なんじゃねえの?嫌われるのは俺だろ」

「え、それこそ意味わかんない」

「恋人じゃない男と寝る女が嫌いだって豪語しといてこれかよって、幻滅しただろ」

「してない、そんな、幻滅なんてするわけない」


夏目くんの、組まれていた足がほどける。

両足をしっかり床に付け、まっすぐ私に向き直った。
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