ラブ パラドックス
「飯食って帰るか?」
ブラインドのわずかの隙間をぴしゃりと閉じながら、振り向きざまに聞かれても、かわいい反応ができない。
「まだお腹すいてない」
よりによって、いつもより低い声。最悪。これじゃ「ふててます」って言ってるみたい。
入り口の鍵を閉め、防犯をセットした夏目くんが可笑しそうに笑いだす。
なによ。
睨みつけると声を出して笑われる始末。
おかしいな。
わたしたち両想いなんだよね。
付き合うんだよね?
夏目くんの態度を見てると、自信がなくなってきた。
そんな夏目くんを放っておいて、一人エレベーター前に立つ。
すぐ追ってきて後ろに立った夏目くんが、知らんぷりするわたしに耳打ちをした。
「早く二人きりになろうぜ」
耳をくすぐる夏目くんの声。
高鳴る鼓動、朱に染まる頬。
俯く私に、さらに追い打ちをかけてくる。
「今夜うちに泊まれよ」
「…泊まってあげてもいいよ」
底なしの嬉しさと恥ずかしさをぐっと抑え込み、クールに言ったつもりだけど、夏目くんのニヤリ顔を見ると、心情がダダ漏れだと察した。
ブラインドのわずかの隙間をぴしゃりと閉じながら、振り向きざまに聞かれても、かわいい反応ができない。
「まだお腹すいてない」
よりによって、いつもより低い声。最悪。これじゃ「ふててます」って言ってるみたい。
入り口の鍵を閉め、防犯をセットした夏目くんが可笑しそうに笑いだす。
なによ。
睨みつけると声を出して笑われる始末。
おかしいな。
わたしたち両想いなんだよね。
付き合うんだよね?
夏目くんの態度を見てると、自信がなくなってきた。
そんな夏目くんを放っておいて、一人エレベーター前に立つ。
すぐ追ってきて後ろに立った夏目くんが、知らんぷりするわたしに耳打ちをした。
「早く二人きりになろうぜ」
耳をくすぐる夏目くんの声。
高鳴る鼓動、朱に染まる頬。
俯く私に、さらに追い打ちをかけてくる。
「今夜うちに泊まれよ」
「…泊まってあげてもいいよ」
底なしの嬉しさと恥ずかしさをぐっと抑え込み、クールに言ったつもりだけど、夏目くんのニヤリ顔を見ると、心情がダダ漏れだと察した。