ラブ パラドックス
一番に考えたのは仕事の上での伝達事項。でも今日は終始行動を共にしたので特にない。


「あ、湊さんとはもう会いません。クリスマスできちんと終わりにしました」

「違う。しかもそれ知ってる。告られて断ったんだろ?」

「なんでそこまで知ってるの?」

「口の軽い内通者がいるんだよ。次の日の夜知った」

「中村くん!」


夏目くんが、ぎゅ、と抱きしめる腕に力を込める。


「あいつ、俺と店長の間でしばらく板挟みだったから相当神経すり減らせてたぞ。つーか、店長のことは思い出させるな。イラつくから」

「イラつくって…」

「お前があの人とは付き合わないって言ったから、それを信じてたけど、やっぱり嫌だろ?お前が二人きりで男と会うとか」

「夏目くん、ヤキモチ妬くんだ。意外」

「へらへらすんな」


夏目くんが至近距離で睨んでくる。


だって、夏目くんがヤキモチ妬くなんて。

嫌な気持ちにさせてごめんなさいなんだけど、ちょっと嬉しい。ごめんね。


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