ラブ パラドックス
「で?」


頭頂部を顎でぐりぐり攻撃される。

痛い痛い。禿げるからやめて。


「俺、まだお前から言われてない」


言われてないって何を…ぎゃ!

何やってんのわたし!


好きって伝えてない!


後悔で泣いたあの夜からずっと、意気込んでたのに。

結局夏目くんから言葉をもらって、肝心な私の気持ちを伝えてなかった。


青ざめたり、かっと熱くなったりしてると、いつの間にか、背後の音が止まっていた。



「葉月」


無音の中、催促代わりに名を呼ばれる。

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