ラブ パラドックス
「好き」
わあ!恥ずかしい!
口にしてすぐ夏目くんの腕の中で反転し、胸に頬を寄せる。
「こっち向けよ」
「やだ恥ずかしい」
「やだじゃねえよ」
呆れたような、楽しそうな笑い声が下りてきた。
上向くと、嬉しそうに笑っている夏目くんがいて、私もつられて笑顔になった。
首筋に優しく添えられた手。
くすぐったくて少し首をかしげると、笑顔のままの夏目くんが近づいてきた。
ギリギリまで見つめ合って、彼の目線が唇に落ちたとき、瞳を閉じた。
柔らかく重なる唇。
何度か繰り返し、ふと目を開けたとき、まつげを一本一本確認できる距離で目が合い、お互い、吹き出した。