ラブ パラドックス
「なんか、意味もなく笑っちゃう」

「お前も?」

「なんだろうこれ、恥ずかしい。照れる」

「わかる。妙に照れくさい」

「だよね」


夏目くんが身体を反って押してきたので、よろけたところをころんと方向転換される。夏目くんが後ろからおぶさってきて、そのままどこかへ歩かされる。


「もう、なあに?」


私の体にのしかかる重さは、ほんのちょっとで。

幸せすぎて、ふわふわ浮かれる私をしっかり歩かせてくれるには丁度いい。


たどり着いたのはベッドで。

端に座らされ、夏目くんも隣に座った。

重みでマットが沈む。

ちっちゃくなって座る私の手をそっと握り、指を絡めた。


「きりっとした姿勢で真剣に仕事に取り組んでるお前も好きだけど、飾らないお前も好き。弱くてすぐ泣くところも、かわいくてしかたない。ほらその顔も」


繋いでないほうの手が、耳の下から髪の毛に潜ってきた。


「やっと俺のものになった」


キスをしながらベッドに横になった。

夏目くんの重さと温もりを受け、何度も何度もキスを交わしながら、微笑む。
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