ラブ パラドックス
長い指が、体のラインをたどる。

壊れ物に触れるみたいに、そっと、そっと触れたかと思うと、意地悪に強くつまんでくる。


身体を這っていたはずの唇が、開いた口に噛みついてきて、隙間から声が零れる。

差し入れられた濡れた舌が、淫らに舌を絡めとる。


普段の爽快さとは程遠い、”男”の夏目くん。

普段の彼から想像もできない色香が、私を飲み込んでいく。


熱く火照ったたくましい身体の、しっとり湿る背中にしがみつく。

きれいな背中に、深く、爪を埋めてしまう。


「葉月」


夏目くんの下で乱れるわたしを、熱っぽい、かすれた声が呼ぶ。

なんとか呼びかけに応えようと目を開けると、苦しそうな夏目くんの顔。


はあ、と熱い息を吐きながら近づく唇が、唇を甘く噛む。

シーツの上で両手を握り、痛いくらい、しっかり結ばれる指。


繋がる身体。

繋がる、心。


息も絶え絶えに、与えられる快感に抵抗もできず。

もう何度目かわからない波が、奥深いところで甘く弾けて、頭が真っ白になった。

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