ラブ パラドックス
「ベッドのお前いやらしすぎる」

「やだ、そんなこと言わないでよ」


やらしすぎるって!


でも、そうさせるのは夏目くんだよ。

なにもかも制御不能になるのは、夏目くんのせいなんだから。


そのあとの言葉を待ったものの、なかなか聞こえない。

おかしいな、と思い顔をもたげると、グイと顔を抱きしめられる。


まるで、こっち見るなって言ってるみたい。


「明日中村と飲みに行くから」

「了解です」

「なんだその事務的な返事」


むむ。ほかになんと返事をすれば。


夏目くんの腕から脱し、ベッドにうつ伏せ両肘をつく。

こっちを向いて寝ころんだままの夏目くんを、斜め上からじっと見つめる。


「お前とこうなったこと、あいつに教えてやらないとな」

「あ、うん」


そっか。

中村くん、湊さんと夏目くんの間で板挟みだったって…
< 210 / 294 >

この作品をシェア

pagetop