ラブ パラドックス
「ベッド狭くて寝心地いいとは言えないのに、お前と一緒にいたくてたまんねんだよな」
夏目くんはそう言って、寝返りをうち、布団を頭からかぶる。
たまらず私も布団にもぐり、その大きな背中に体を寄せ、そっと唇を押し当てる。
「体は痛いのに、翌朝の目覚めはいいんだ。お前がいると」
夏目くんの手が後ろに伸びてきた。
手探りでわたしの右手を探り、捕まえると引っ張られ、互いの体の隙間がなくなる。
後ろから夏目くんを抱きしめて、心の中で喜びを噛み締める。
大好きだよ、夏目くん。
そんな風に思ってもらえて、本当に嬉しい。
ベッドの買い換えの件、前向きに検討しよう。
ギュと握られたままの手。
指先に伝わる熱。
それが愛しくて。
「わたしも一緒にいたいから来て」
ほら。
もう言えた。
【完結】