ラブ パラドックス
「葉月と付き合うことになった」

「え!マジか!よかったな!あ、でもそうか、うわ、マジかー」


乾杯もそこそこに、まずは今日の目的だった葉月との交際報告をすると、涼平がこの反応だ。

大きく身を乗り出し、驚き、笑顔になり、最後は困惑の色を見せた。


「いやー、そうかそうか。じゃあここはお前の奢りな。あー俺辛かったなー。お前と店長との板挟み」


そう言って三分の一ほど残っていたハイボールを飲み干し「3分時間くれ。整理する」と左腕の腕時計を人差し指でコツンと鳴らした。

実際3分かどうかわからないが、俺が一杯目の中ジョッキを飲み干したあたりで、ぼんやり宙をさまよっていた涼平の目線が俺に帰ってきた。


「店長な、リアルにイケメンだろ?とにかくモテるんだわ。さすがのお前も分が悪いなと思ってたんだ。あ、いや、お前もバカイケメンだけどな。だけどほら、店長の異常なモテ具合を目の当たりにしてるから」

「いや分かる。なんて言うんだ?男なら誰しも感じるモテオーラというか」

「それな!やばいよな。俺あの人になら抱かれてもいい」

「え、引くわ」
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