ラブ パラドックス
「高校の時のお前って、俺ら一般人からしたら遠い遠い存在だったわけよ。それが数Ⅱの追試で一緒になったのがきっかけで仲良くなって、」
「俺は遠征で試験受けられなかっただけだから、赤点のお前の追試と一緒にするな」
「まだ話の途中ですけど。まあ、仲良くなって、距離が近くなっても、それでもやっぱり高校生の夏目陽はスーパースターなわけよ。だからお前に謝らないといけないことがある」
「は?何を?意味わかんねえし」
バツの悪さを笑って誤魔化そうとする涼平。ちょっと待て。謝られるようなことあるか?
「言えよ」
「怒らないって約束して?」
顎の前で両手の指を組んで上目遣いのお願いポーズ。怒らせたいとしか思えない。
言いにくそうにする涼平に嫌な予感しかしない。
「いやー、ハードル上げちゃった。凜ちゃんに嘘教えた」
「は?嘘?てか凜ちゃんって呼ぶなよ。俺もまだ名字呼びなんだから」
「付き合いたてで二人だけの呼び方考え中か?」
「そんなんじゃねえよ。おい。話変えんな。嘘とハードルってなんだよ」
渋々、といった表情で「ごめんな」と前置きされた。怖えよ。