ラブ パラドックス
「陽。葉月さんを紹介してくれてありがとな」
「お前が言うと違う意味に聞こえる」
「いやマジで。ここだけの話、今月売り上げ厳しくて」
「ノルマあるの?」
「あるある。沖田店長、売り上げの鬼」
私の質問に、中村くんが大げさに辟易した表情を作って見せた。
へえ。あの店長さん優しそうだったけど、意外と厳しいんだ。でも仕事だし。店長だし。厳しくて当たり前か。
全国チェーンの居酒屋で、夏目くんと中村くんと3人で軽く飲んで帰ることになった。中村くんは明日は休みらしく、お酒のペースが速い。
「中村くんのおすすめコーデの仕上がりが楽しみ。できたらすぐ連絡してね」
「そう言ってもらえると本気で嬉しい」
わたしは結局、中村くんが提案してくれた、パンツスーツと甘めのスカートコーデを両方購入した。さらばリクルート。
「葉月さんも陽と同じ仕事なんだよね?」
「うん」
「ってことは、先生って呼ばれてんの?すっげ」
「一応」