ラブ パラドックス
白濁色のとろっとした湯が、なんともいい香りでつい寝そうになって、急いで風呂から上がると、葉月はベッドに横になってスマホを触っていた。

葉月は俺に気付きにこりと笑いかけ「あったまった?」と尋ねただけで、またすぐスマホに目を移した。

なんだよ。

ベッドに滑り込み、スマホを取り上げる。

「あ、ちょっと」

「後でいいだろ」


俺は一秒だって待てない。

葉月の上になって、キスをしようとしたとき、またしてもそれを阻止された。

一度取り上げたスマホを奪われ、葉月の指がその画面をなぞる。


「湊さんからさっきメッセージ来たんだけど、湊さんと会ったの?」

「ああ、そうだった。帰りに偶然会って、俺たちのこと話した」

「あー、そっか。言いにくいけど言ったほうがいいのかなって思ってたんだ。ありがとう伝えてくれて。えーっと。内容なんだけど」

葉月がトーク画面を見せてきたので遠慮なく画面を覗く。

他の男とのやりとりなんか見たくないが、隠さず見せてくれたことは喜ばしい。

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