ラブ パラドックス
「なあ、明日何時にする?」
「あ!ヤバ!忘れてた。美容院入れちゃった」
「は?イベント明日までだから絶対行くって言ってただろ?」
「ほんとごめん。キャンセルする」
週末の仕事帰りに二人で駅へ向かいながら、雲行きが怪しくなってきた。
付き合い始めてから、用事のない時は、金土日曜とどちらかの家に泊まっていた。
本当は週7で泊まりたい。一緒に暮らしたいけど、けじめがつかない気がして我慢している。
今日はこのまま俺の家に泊まる予定にしていた。
明日はクライアントの造り酒屋が主催の、歴史ある酒蔵内での日本酒試飲会に行く予定にしてただろ。
どうしても試飲会に行きたかったわけじゃない。
お前が俺との予定を忘れてたことがショックなんだよ。
最近休日の予定が合わず、全然二人で過ごせてなかったから、この休みを励みに一週間仕事がんばったのに、お前は違うのかよ。
楽しみにしてたんだよ。お前と過ごせる休日を。
好きなのは俺ばっかりかよ。