ラブ パラドックス
葉月とは今日まで、意外と喧嘩らしい喧嘩は一度もなかった。
でも、どうも今回は気分が悪い。
「ごめん。すぐキャンセルの連絡する」
そう言ってスマホをバッグから取り出す葉月。バッグを覗いた拍子に、髪の毛がサラリとこぼれ、それを耳に掛けた。
髪の毛、サラサラじゃねえか。
「前から思ってたんだけど、お前美容院の頻度高すぎじゃね?男は短いから伸びるのが気になって行くけど、お前1か月じゃ全然伸びたとかわかんねえし、行ってもそんな変わってないだろ。月2で行ってるときもないか?」
「ひど。行っても変わんないとか言わないでよ。最低」
「逆切れかよ」
「違うし。前言ったでしょ?幼馴染がやってる美容院だし、」
「それが何か関係あるか?」