ラブ パラドックス
ムキになるなと気持ちを静めようとしても、どうも頭に血がのぼってしまった。
言わなくてもいいことまで口から出て、葉月が言い返してくるから収まりがつかない。
「関係ないだろ。幼馴染に会うために行ってるのかよ」
「そういうわけじゃ…」
「その幼馴染って男か?」
「男だったら何?」
「どうもしねえよ」
「変なこと想像してない?浮気なんかじゃないから」
「じゃあその幼馴染、俺に紹介できるか?」
「…やだ。絶対したくない」
「は?もういい。お前といたくないから先帰るわ。イベントももうどうでもいい。今週末は好きに過ごせよ」
「ごめん、待ってよ」
振り返りもせず駅へ急いだ。
タイミングよく発車間際の電車に滑り込み、一人家路に着いた。
家に着いたときには、怒りはとうに治まっていて、後悔しかなかった。