ラブ パラドックス
「ごめんな。カッとなって話も聞かずに置いて帰って。ほんとにごめん」
「わたしこそ、酒蔵のこと忘れててごめん。明日酒蔵行った後、光くんの都合が合えば、一緒に会いに行かない?」
「いいのか?」
「夏目くんは私のだから絶対盗らないでって言う」
「なあ、今のもう一回」
「ん?」
「夏目くんは私の?」
「無理無理。もう忘れた」
繋いだ手を離して、ベッドから立ち上がろうとした葉月の手を引っ張った。体勢を崩しながら倒れてきたので捕獲して膝の上に乗せた。
「今は顔見ないで」と言いながら俺の頭を抱きしめるから、俺の顔は葉月の胸にぎゅうぎゅうに押し付けられる。
なんの褒美だこれ。
涼平が以前口にした『巨乳』のワードが頭をよぎる。俺はそれにこだわらないし、葉月なら何でも構わないが、思わずそこに手が伸びる。