ラブ パラドックス
夕食は外で済ませ、俺の家に帰って早速スパークリングを開けた。

それっぽいグラスに注ぎながら、葉月が酔う前に、と話を切り出した。もうずっと前から考えていたことだ。


「今年の盆休み、一緒に俺の実家に行かないか?」

「え?」

「のんびり一泊するか」

「え?」

「なんだよさっきから」

「いいの?だってその…ご両親とか、おじいさんおばあさんと、ご兄弟もいるんじゃないの?」

「だけじゃねえよ。夏目家は毎年盆に親戚連中が集まるんだけど、お前をそこに連れていきたい」

「え、あの、」

「お前を紹介したい。会ってくれるか?」

「…私もお会いしたい。夏目くんのご家族に」

「よかった」

「やばい。緊張してきた。今日絶対酔う。またやらかすかも」

「俺がいるから安心して酔えよ」

「やだ、泣きそう」


まだ飲んでないのに、真っ赤な顔した葉月が、瞳に涙を浮かべて笑う。

俺もつられそうになるからやめてくれ。


心の中で叫んだ。


< 251 / 294 >

この作品をシェア

pagetop