ラブ パラドックス

「凛子さ、占い師に助言されたこと続けてるよな」

「褒め日記?うん。もう寝る前ベッドで書く習慣になっちゃった。たまに忘れるけどね。あと陽のせいで寝落ちした日は次の日になることもあるけど」

「俺のせい?」

「気持ち良すぎて睡魔がやばくて、した後すぐ寝ちゃうのは陽のせいですが。この体力おばけ」

「は、意味わかんねえ。ほらまっすぐ歩け。占ってもらうんだろ」


凛子の腰をグイと引いたついでに、指先で少しくすぐってやった。

「もう、」とよろける凛子を支えながら、何でもない顔をしているつもりだが、にやけてないだろうか。

おいおい。気持ち良すぎるって言われたぞ。


目的地に到着したときには、ストリートでアコギをかき鳴らしながら流行りの曲を演奏している若者がいるだけだった。観客もいない。

前回同じ場所で演奏していた人物と同一かどうかはわからない。


と、そこへ路地から見覚えのある人物が現れた。

間違いない。あの時の占い師だ。両手に大きな荷物を抱えている。時間が時間だ。もう店じまいらしい。
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