ラブ パラドックス
「こんばんはー」
陽気な凛子が声をかけ手を振る。
まさかの積極性。こいつ何するかわかんねえから、俺がいないときに飲酒禁止だ。
占い師が凛子を見た。もちろん隣の俺にも目線を向け、眉間にしわを寄せわずかに動きを止めた。
凛子が俺の手をひきどんどん距離をつめる。
「こんばんは。覚えてませんよね。私以前ここで見ていただいた者です」
「待って」
占い師に止まるよう促され、だるまさんがころんだ状態で動きを止める凛子。
はいまたこれ。バカかわいいからやめろって。
ごくり、喉を鳴らしたくなるような間。相変わらず何かを凝視するような占い師。凛子はゆらゆらと身体が動き始めた。体幹鍛えろ。
「あなた」
「俺?」
占い師の目線が定まったのは、凛子ではなく俺だった。俺を見上げながら、占い師がこう言った。