ラブ パラドックス
「今日ね、前の水着着る前に動画見てたんだけど、たまたまおすすめで出てきた動画で、結婚式感動サプライズっていうのがあって見てたんだ。花嫁のお父さんが亡くなっててその式にはいないんだけど、サプライズで生前の映像が流れて。泣いちゃいそうで見るのやめたんだけど、それでかな。お父さんの夢を見て…」
俺が映画を探してた時のアレはそういうことか。すごく真剣に見ていたアレだ。
「週末はこうして陽と一緒に寝るから今までなかったんだけど、実は時々こういう日があるんだ。凄く寂しくなって、陽にすごく会いたくなるんだけど我慢してる」
「我慢するなよ。言ってくれれば夜中でも大雨でも、すぐ駆けつけるのに」
「うん、きっとそう言ってくれるんだろうなってわかってるんだけどね」
「お前はお父さんが亡くなってから、お母さんにも頼らず一人で頑張ってきたんだろ?もういいんじゃないのか?これからは俺に寄りかかって生きていけば」
「陽…」
「な?」
凛子の瞳から涙がこぼれた。凛子を抱き寄せ、よしよしと頭を撫でてやると、肩が震えているのが伝わってくる。