ラブ パラドックス
「明日のプール、また今度にしてもいい?」
「ああ。そういう気分じゃなくなったか?」
「お父さんに会いに行きたい」
「ああ」
「一緒に会いに行ってくれる?」
「もちろん。俺も会いたい」
「緊張する」
「なんでだよ」
「だって。お父さんに初めて彼氏を紹介するから」
やっと凛子の笑顔が見れた。泣き腫らした顔で、恥ずかしそうに笑う。
「俺、一番いいスーツ着て行ったほうがいいか?真夏だけど、お前が選んでくれたネクタイしめて」
吹き出した凛子の瞳から、止まったはずの涙があふれた。
タオルでそれを拭いてやって、泣き笑う凛子に「どっちかにしろよ」とわざと憎まれ口をたたくと、ふと言葉が下りてきた。
直感を信じろ。
光しか見えない。
あの、占い師の言葉が。